新型コロナウィルスと糖尿病

糖尿病の人は感染症に対して防御力が落ちます

体には『免疫』というシステムが備わっています。細菌やウィルスなどの外部からの侵入者に対抗して体を守る自衛隊のような存在です。

 

体内の自衛隊を担当するのは白血球です。外部から体内への侵入者があると白血球が現場へ急行します。到着すると侵入者にくっつき攻撃します。この一連の流れを細胞性免疫といいます。また液性免疫と言って、侵入者に対して『抗体』という武器を作るタイプの免疫もあります。

(余談:花粉症は花粉に対する抗体を体内で作りすぎてしまった結果、涙や鼻水などの症状が起こります)

 

糖尿病の方では細胞性免疫が低下すると言われています。白血球の現場到着が遅れ、その間に侵入者が増えます。そしていざ到着しても白血球の攻撃力が落ちていて侵入者にうまく攻撃できなくなります。

 

糖尿病の人は新型コロナウィルス感染が重症化する?

先月末に緊急事態宣言は解除されましたが、いまだ予断を許さない状況が続いています。

 

巷では高血圧や糖尿病などの持病のある方は新型コロナウィルス(COVID-19)に 感染すると重症化しやすいと言われてますが、先日、米国糖尿病学会(ADA)から一つの見解がなされました。

それは、

『糖尿病があっても血糖コントロールが良好であればCOVID-19感染の危険性は健常者と同じである』というものでした。

https://www.diabetes.org/covid-19-faq

 

糖尿病があること自体がCOVID-19重症化のリスクではないことが強調されています。

どの程度まで血糖コントロールをすればいいのかについては中国からの研究データもいくつか出てきてはいますが、明確な数字はわかっていません。

 

手洗いやうがい、咳エチケット、三密を避けるなどの感染予防対策に加えて、余分な糖質(おやつやジュースなど)を控えることもコロナウィルス 感染を予防するために大切なことです。

 

感染症の時には血糖値が上がります

糖尿病の方が感染症を起こすと血糖値が上昇して、ケトアシドーシスという病気を引き起こすことがあります。ケトアシドーシスは時には命を失ってしまう怖い病気ですが、脱水や自己判断でのインスリン注射中断などで引き起こされます。糖尿病をお持ちの方が(具合が悪い)(食事が摂れない)(吐いたり下痢をしている)などの体調不良時には早めに医療機関に相談することが大切です。

(ちなみに、糖尿病の方がおう吐や下痢などで食事がとれないときのことを『シックデイ』といいます)

 

風邪の際、栄養ドリンク・スポーツドリンクを飲んでいたことが原因でケトアシドーシスを起こして亡くなった方もいます。繰り返しになりますが、糖尿病の方が具合の悪い時には早めの受診をお願いしたいと思います。

 

(注)発熱や咳・たん・ノドの痛み・味覚の異常・嗅覚の異常がある方は事前に連絡していただくようお願いいたします。

 

(かやの茶屋. 羽化直後のセミ)

 

 

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