糖尿病の合併症:『糖尿病性神経障害』

糖尿病を放っておくと,,

 糖尿病は、発病初期には症状がないために、通院せずに放置してしまうことも多い病気です。長期間血糖値が高い状態が続くと血管がダメージを受けてしまい、様々な合併症を引き起こします。青森県が短命県であることの原因の一つに、重篤な糖尿病合併症が多いことも挙げられています。

 

合併症って何?

 合併症とは『ある病気が原因で起こる他の病気のこと』です。

 糖尿病には3大合併症『糖尿病性神経障害』『糖尿病網膜症』『糖尿病性腎症』があります。

 それぞれの頭文字を取って『し・め・じ』と覚えます。

 

  :神経障害

  :目(網膜症)

   ※網膜とは目の裏側にある膜です。

  :腎症

                                          

糖尿病性神経障害

 

   :神経障害 

   :目(網膜症)

   :腎症

 

  糖尿病神経障害は三大合併症の中で最も早期に出現すると言われています。両足のしびれやこむらがえり、かかとの乾燥などの症状から始まることが多いですが、進行すると足の感覚がなくなったり、胃の動きが悪くなってムカムカしたり、頑固な便秘やED(勃起不全)、立ちくらみなど様々な症状を引き起こします。足の筋肉が痩せたり心臓発作の引き金にもなります。

 

足切断の原因

 神経障害が進行すると足裏に画鋲が刺さっても気がつかなくなります。痛みを感じる神経がなくなっているからです。

 以前、自分が診た患者さんでこんな方がいました。

 診察室に入った瞬間、異臭が凄まじく、足を診るために靴下を脱がせようとしたら、

 腐って真っ黒になった右足の親指が、ぽろっと崩れてとれてしまいました,,,

 

 その方は敗血症も起こしていて、入院し抗生剤加療と足切断を行い、命は助かりましたが片足がなくなってしまい生活がとても大変な状況になってしまいました。

 

予防するために

以下のことが大切です。

 

 ①糖尿病の管理

 血糖値が高いと、気づかぬうちに少しずつ神経障害が進んでいきます。

 

 ②高血圧や脂質異常症

 血圧・脂質(コレステロール)のコントロールが不良だと糖尿病神経障害が悪化します。

 

 ③禁煙

 喫煙も神経障害の進行と関係していることが疫学研究によって明らかにされています。

 

 ④早期発見・治療

 神経障害の有無を問診と診察で判断します。

 

 ⑤普段から足に注意を払うこと

 足の小さな傷タコから足が腐ることがあります。また、コタツ・湯たんぽによる低温火傷や、靴ずれ・爪切りの深爪から足が腐ることもあります。

 もっとも大事なことは『足を清潔に保つこと』です。毎日のお風呂の時に、足に傷がないか、水虫やタコができていないか、爪が変形していないかどうか確認して下さい。もし異常を感じたら相談していただければと思います。

 

管理をしっかりすれば、

 糖尿病がない人と同じような生活を送ることができます。自覚症状がなくても定期的な検査がとても大切です。糖尿病神経障害の有無を調べる検査はお金がかかりませんので興味のある方はお気軽にご相談下さい。

 

              

⦅ かきざき 糖尿病内科クリニック ⦆

花粉症や不眠・貧血などの一般内科外来〕

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